悲しくも可笑しく、可笑しくも悲しく

ちきりんさんの「孤独のマネジメント」ってワードを聞いて

人生の最後について考えてて思い出したことがある。


それは祖母のお葬式


*   *   *


祖母は90近くまで生きたし

子や孫にも恵まれ

戦中戦後を過ごし苦労しただろうが

その年代を生きた人の中では恵まれた人生

最後、お金に苦労したけど


祖母はすい臓がンになり余命が宣告された。

楽しくお出かけしていたお友だちも亡くなっていき

TVショッピングが日課になっていた祖母だったけど

余命宣告により生き生きし始めた


せっせと終活を始めた



*   *   *


家を売っぱらってお金の問題に道筋をつけた


葬儀屋にいき、当日の葬儀の段取りを決めてきた

「こういう段取りで進行するねんで、そのとき私はおらんけどな(笑)」

とか明るく言うから笑ってしまった。


遺影もばっちり準備した

「なかなかええ写真になったわよ」と満足げ


形見分けも段取りした

この宝石は嫁に、これは娘に、孫娘にと

分けておいた


*   *   *


すい臓ガンは進行が早い

そうこうしてるうちに、寝たきり状態になった

食べられないので痩せ細った


お見舞いに行くと、形見の宝石の説明をした

「出来るだけ色んなものを家族にあげたい」

って思ってるようだった


ブドウ3粒しか食べられないのに

家にはお菓子がたくさんあった


なんか喜ばせたいと思って

「お菓子ちょうだい」、と言ってみた


どうせ食べられないし、と思ったし。


そしたら、「全部持っていかんといて。ちょっと残しといて。」

という予想外の返答。


宝石は惜しみ無くくれるのに、

お菓子は惜しいようだった


花より団子?ベッドで宝石つけないもんね。

でもお菓子は少し食べられるかもしれないもんね。

食べたら幸せな気持ちになれるもんね。


可笑しいやら悲しいやら。


*   *   *


そして、土用の丑の日だったから

「おじいちゃんのために予約してある鰻をもらってきて」

と頼まれた


この状況でも、夫の鰻を心配してる

段取りのよい祖母を思うと

さらに、可笑しいやら悲しいやら


*   *   *


そしてとうとう亡くなった

宣告通りだった


葬儀でお経を聞きながら遺影を見つめる


確かになかなかええ写真やわ、おばあちゃん

ここで映像が流れるって言ってたね

いいお葬式やね。


悲しくて可笑しくて、可笑しくて悲しくて

涙がこぼれる


ちゃんと死に支度をして

穏やかにわりとポックリと死んでいった


いい最期だった


*   *   *


私もお葬式で

悲しいやら可笑しいやら

って思ってもらいたいな


思い出すたびに

可笑しな思い出があふれてくるような

そんな人になりたいな